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第4章-6 過去のささやかな体験が人の「やる気」を支えます
「過去の様々な体験が私を支え、未来の『夢』が自分をひっぱってくれている」
仕事で失敗し、気落ちしているとき、いつもこのことを思い出します。つまり、こう言えると思います。
「過去を振り返る」と聞くと、ネガティブな響きがありますが、私たちは過去なくして存在していません。過去の自分があっってこそ、いまの自分がいます。
以前、私が主催する「夜話会」(メルマガ読者の方との交流会)で、「本当につらい時期だったのですが、松山さんに助けられました」と感謝の言葉をいただいたことがあります。
私にとって、こんな嬉しいことはありません。
自分で「モチベーションが落ちているな」と感じたときには、こうした嬉しい過去をよく思い出し、自分を鼓舞しています。
「昔の自分」に「今の自分」を助けてもらうのです。
ドストエフスキーの大作『カラマーゾフの兄弟』(新潮社)の言葉です。
思い出は、役に立ちます。心に作用します。「あの時、がんばれた」という遠い記憶が、逆境にある人を支えます。だから、もしやる気を失った時は、かつて失敗を乗り越え、そこから学び、成長してきた自分を思い出し、その失敗に適応していけばいいのです。
「あのつらい時もなんとかなった。だから、今回もなんとかなる」
こう考えることは、モチベーションダウンを回避させる基本的な思考パターンです。何かができていないとき、何かができていたい過去が、あなたを救います。
目を閉じてくだい。
小学生だったあなたが目の前に現れ、話かけてきました。
さあ、なんてお答えになりますか。どんな言葉を返しますか。小さい頃の自分に恥ずかしくない生き方をしていますか。幼き日の自分の前で、堂々としていられますか。「大丈夫、まかせておけって」と、きっぱりと言えますか。
「過去」は財産です。決して忘れ去ってよいものではないですし、懐古主義だといって遠ざけるようなものでもありません。自分の歴史とは、現実から逃げずにしっかりといまと向き合うために自分でつくってきた大いなる遺産なのです。
次の表は簡単な「モチベーション管理シート」です。
日記をつける時間など無いという方、またはいつも三日坊主だという人でも、これくらいならきっと大丈夫だと思います。点数だけでも結構です。三秒で終わります。点数は直感でつけてください。考えすぎは禁物です。
ここでは七日分しか記していませんが、できたら一ヶ月分の表をつくって下さい。パソコンで「エクセル」を使えば、簡単にできてしまいますね。
一週間だけでも、自分の「モチベーション」に、浮き沈みのあることがわかります。そして、数ヶ月分つけて折れ線グラフを眺めると、「月末がどうもダメだ」とか「中旬でいつもだれるな」とか、何らかの傾向が見えてきます。そうしたらしめたものです。その時期に備え、冬支度をするように感情的な準備をすることができます。
「自分は中旬でだれるから、気を引き締めていこう」と思えるのと思えないのでは、「モチベーション」に違いが出てきます。
これは、「モチベーション」の「見える化」ですね。このデーターは未来の自分への贈り物です。
過去の自分を通していまの自分を大切にする。
モチベーションを維持する、あなたにしかできないひとつの秘訣です。
(著:松山 淳)
2. 私は、過去の自分を味方にできているだろうか。
3. 私は、自分のモチベーション・パターンを把握できているだろうか。