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固定観念の怖さを知る2つのクイズ!

固定観念の怖さを知る2つのクイズ!

 「固定観念」とは「いつも頭から離れないで、その人の思考を拘束するような考え」と辞書(デジタル大辞泉)にあります。「思考を拘束する」のですから、私たちが現実を見誤る原因になります。

まっつん
まっつん

 ただ、どんな人でも「固定観念」を持っているものですね。「固定観念」は何も悪者ではなくて、デメリットあればメリットもあります。「固定観念」があるから、人は思考をシンプルにして、意思決定をスピーディにできます。これは大きなメリットです。

 ただ、デメリットもありますので、「私に固定観念など無い」というのは、ちょっと再考の余地があるかなと…。

 では「固定観念があるかもしれない」と思わせてくれるクイズをお出しますので、楽しんで、考えてみてください。


クイズ1

 あるのぼり坂をリヤカーが進んでいます。ひとりがリヤカーの前で引っ張り、リヤカーの後をひとりの人が押しています。

 ふたりは嘘をつかない正直者として、近所で有名です。

 荷物がたくさん積まれていて、リヤカーはかなり重そうです。
 ですが、ふたりとも腕は太く、筋肉の隆起するたくましく鍛え上げられた体の持ち主で、力強く坂を登っていきます。

 押す人の顔は険しく、額から汗が流れ落ちています。時々、「オッス、オッス」と、低く野太い声を出しています。
   
 通りがかりの老人が、前でリヤカーを引く人に尋ねました。

 「御苦労ですね、ところで後ろの人は、あなたの息子さんですか?」

 すると、前をひく人は「そうです、俺の息子です」と、答えました。

 老人は、つづいて、後ろの息子に尋ねました。
  
 「前で引いているのは、あなたのお父さんですか?」
 
 すると、「いいえ!違います」と、答えました。

 「えっ!」 老人はびっくりして、目を丸くしました。

 さて、前を引いているのは誰、ふたりの関係は?


 いかがでしょうか。クイズですから、「ひっかけ」があるとわかって読んでいると思います。ポイントは、「何が」ひっかけになっているかですね。

 まず、前をひいているのは「お父さん」ではありません。

 正直者の息子ですので、嘘はつきません。

 前の人は「俺の息子です」と答えています。

 この人も嘘をつかない人ですから、前の人は息子の「親」です。

 ですので、関係は「親子」です。

 では、答えはひとつですね。

答え

お母さん(母親)

 「固定観念」クイズです。誰もが持ちがちな「固定観念」に働きかけています。前半の文章で、「男」をイメージさせる語句が並んでいます。

 「腕は太く、筋肉の隆起する」「オッス、オッス」と低く野太い声」。そして「そうです、俺の息子です」

 これらの言葉から「男」だと考えてしまうことが「固定観念」です。

 女性で、腕は太く、筋肉の隆起する人はいます。「オッス、オッス」と低く野太い声を出す人もいます。数は少ないかもしれませんが、自分のことを「俺」と呼ぶ女の人もいます。

 また、「そうです、俺の息子です」に引かれた「水色のアンダーライン」から「青=男性 赤=女性」という連想が、無意識のうちに引き起こされて、「男」だと思い込んだ方もいるかもしれません。

 体を鍛え上げた「女子プロレスラー」の悪役をイメージしながら、上の文章をもう一度、読んでみると、きっと違和感はないはずです。

 でも、「男がリヤカーを引いている」と思い込んでしまうと、「お母さん」という答えが出るのに、時間がかかるかもしれません。また、「お母さん」と答えを見た時に、「なんだよ、男って書いてあるじゃないか」とムッとしたら、クイズ作者の罠にはまったことになります。

 「男」「男性」とは、どこにも書いてありませんので…。

 では、第2問目にいきましょう!


クイズ2

 Q.次の文章は、何を説明しているのでしょうか?

■その手順は全く簡単である。まず、ものをいくつかのグループに分ける。もちろん、ひとまとめでもよいが、それは、やらなければならないものの量による。

 

■もし、設備がないためにどこかよそに行かなければならない場合には、それが次の段階となる。そうでない場合は、準備はかなりよく整ったことになる。

 

■重要なことは、やりすぎないことである。すなわち、一度に多くやりすぎるよりも少なすぎる方がよい。この重要性はすぐにはわからないかもしれないが、めんどうなことはすぐに起こりやすいのだ。その上失敗は高価なものにつく。

 

■最初は、その全体の手順は複雑に思えるかもしれない。しかし、すぐにそれは生活のほんの一面になるであろう。近い将来はこの仕事の必要性がなくなるとは予想しにくいが、誰も何とも言えない。

 

■その手順がすべて終わったあとで、ものを再びいくつかのグループに分けて整理する。次ぎにそれらは適当な場所にしまわれる。

■結局、それらは再び使用され、その全体のサイクルは繰り返されることになる。とにもかくにも生活の一部である。

 

(Bransford & Jhonson,1973)


 何を説明しているか、おわかりになったでしょうか?

まっつん
まっつん

 ちなみに私は、読みながら工場の生産現場、ベルトコンベアなど、機械が何台も動いている場面を想像してしまいました。それでもうダメですね。ずっと工場の風景が頭から離れず、何の生産工程だろうと…。

 その引き金となったのが「設備」という言葉です。

 私は「設備」と聞くと、(それが固定観念ですが)大きな機械を連想してしまうのです。「仕事」という言葉もそれに拍車をかけました。

 辞書の言葉どおり「思考を拘束」された状態になっったのです。

 で、作者がくれた「生活の一部」という大きなヒントが入ってきませんでした。

 最後「とにもかくにも…」と、かなり強調しているのにもかからず…です。

 まだわかっていない方、スクロールするのをとめて、もう一度、考えてみてください。

 「生活の一部」がヒントです。


 結局、私は「工場の設備」「生産工程」という「固定された観念」を動かすことができず、「答え」を見てしましました。

 「答え」を見て、「な〜んだ、そういうことか」と、クイズ作者の術中に見事にはまり、悔しい思いをしました。

 さてさて、答えは、こちらです。

答え

洗濯


 「洗濯」とわかって読むと、「なるほどね」「確かに」とうなづけます。わからないで答えを見ると、なんだか「イラッ」としてしまいますが、まあクイズですので、気軽に考えてください。

 2つとも正解できたという方もしるかもしれませんが、どちらか、あるいは、2つともわからなかった方もいると思います。

 もし、クイズ作者の術中にはまったら、次のことを気をつけ、心がければいいのでしょう。

タイトル
🌟誰もが固定観念をもっている
🌟一度、固定観念にとらわれると離れるのが難しい
🌟自身の「固定観念」を日頃から疑い、チェックする

 こうした「気づき」を得ることこそが、きっと、クイズ作者の「真の意図」だと思います。

 「固定観念」を悪者とせず、上手につきあっていきましょう。

(文:松山 淳)



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