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『リーダーへ贈る108通の手紙』

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【番外編】「第16話-異変(2)」嫌いな部下に泣かれてしまう。

『リーダーへ贈る108通の手紙』【番外編】
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☆この物語は「ビジネスリーダーへの応援歌」をコンセプトとした創作です。

            『Starting Over』
              〜リーダーの涙☆〜
 
                               07.1.23
                           【第16話-異変(2)】 
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【主人公は43歳。中小企業の営業課長!】

 >>>

    
  か細い声でした。 
 
  「リストラの噂は聞いています。やっぱり僕なのでしょうか」
 
  部屋の空気が緊張しました。
 
  私は何と答えていいのかわからず、
  その場にふさわしい言葉を探そうと努力しましたが、
  そうすればそうするほど、
  目の前で起きている現実から逃避するかのように、
  別のことが頭に浮かんできました。
  
  会社を恨みに恨んで悪態ついて、
  みんなと示し合わせて一円でも多く退職金を
  ぶんどってやろうと人事部の人間とやりあい、
  仕事の引き継ぎなど忘れてお金のことばかり考えていた、
  かつての自分の姿です。 
 
  それに比べ、
  「平泉はどうしてこんないい子になっているんだ」
  と思ったら変に腹が立ってきて、

  「なぜそう思うんだ」

  と、ついきつい口調で問い詰めてしまいました。

  すると、
 
  「だって僕は、営業向いていないですし、課長に嫌われていますから・・・」

  「そんなことはない」

  と、反射的に答えたものの、
  言葉に力はなく自分でも嘘をついていることが、
  そうした顔をしていることがわかりました。

  平泉はうなだれ、私を見もせず

  「いいんです、無理しないで下さい」

  と、声をつまらせました。
  背中はさらに丸くなり、それから長い沈黙がありました。
 
  〜〜〜
 
  その静けさの中で、私はまた昔のことを思い出していました。

   何度かの口論の末、

   「先のことを考えなくちゃ。子どもだって欲しいし。
    ね、お願い、失業給付金もらって」

   と、美佐子に泣かれ諭され、
   半ば強引に連れて行かれた職業安定所での面接の場面です。
 
   私は「退職金を充分にもらったから」と
   美佐子の主張を退けようとしていましたが、
   本心は、失業給付金をもらうことで
   自分が惨めになるのが恐かったのです。

   失業という文字さえ見たくなかったのです。

  〜〜〜

   今思えば、職安の面接官はきっと普通に対応していたのでしょう。
   しかし、その職員が私のことを見下しているように思え、
   失業の理由について尋ねられた時、

   「そんなこと書類に書いただろ、答える必要ない」

   と大きな声を出してしまいました。
   担当官は目を丸くし、辺りにいる人の視線がいっせいに注がれました。

   横に座る美佐子が泣きました。

  〜〜〜
 
  その時の哀れな気持ちが私の心を支配し始めました。
  どこかへ逃げたくなりました。
  すると、目の前でうなだれ座っている平泉が、一瞬、私に見えたのです。

  その途端、

  「申し訳ない。本当にすまない。許してくれ」

  と、声を震わせおでこを机にこすりつけ、謝罪していました。
 
  会社の都合で首を切るのです。
  人生に傷を負わせるのです。
  少しでも謝らなければ救われません。

  〜〜〜

  平泉は、私がまさかそんな感情的になると思っていなかったのか、
  びっくりして、
 
  「いいんです。別にいいんです、仕方ないです。
   会社の決めたことです。僕は営業むいてないんですから、仕方ないです」

  と、私を気づかってくれました。

 〜〜〜

  そして私が少し落ち着くと、突然話し始めたのです。

   小学校5年生の時に、父親を亡くし母親に育てられたこと。
   入社した時、本当は営業を希望していたこと。
   お父さんが小さな会社だったけど立派な営業マンだったらしく、
   お酒の弱い父親が飲めない酒を飲んで帰ってくると、
   頬を赤らめ楽しそうに仕事について語ってくれたこと。

   そんな父の話がいい思い出となって
   小さい頃から営業マンにあこがれていたこと。

   総務から営業に異動できて実はとても喜んでいたこと。
   でも、社交的でない自分にコンプレックスを持っていて
   どう自分を表現していいのか悩んでいたこと。

   それを私に知られまいと避けてしまっていたこと。
   相談したかったけど、馬鹿にされそうなので話せなかったこと。
 
   できることならこの会社に残りたいこと。
   父のような営業マンを目指してみたいと本気で思っていること。

   それが母への親孝行になると考えていること。

 

                           つづく・・・

 

                 [次回配信 1/25(木)18:00頃]

※【番外編】は毎週2回(火曜日・木曜日)配信です!
※この物語はフィクションです。実在する人物、団体とは関係ありません。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

《あとがき》

  ◆松山です! 今日もお仕事、お疲れ様です!

   月曜日(1/22)の東京は「朝から雪」との予報だったのですが、
   起きてみると、雨でした。
   息子は、その前日から「明日は雪だ!雪だ!」とはしゃいでいたので
   窓の外を見て、がっかりしていました。

   「仕方ないだろ、それが自然だ!」

   などと、私は父親らしく声をかけましたが、
   実は、私もかなり落胆していました!

   四季の移ろい。
   たまに見る東京の雪景色。
   貴重な風景になりつつあるようです。
  

  ◆さてさて、今日の「壁の言葉」は・・・!

  
 《今日の「壁の言葉」》

 ごくゆっくりでなければ歩かぬ人でも、
 つねに正しい道をたどるならば、駆けあるく人や正しい道から
 遠ざかる人よりも、はるかによく前進しうるのである。

(フランスの哲学者 ルネ・デカルト)
 

  ◇上の言葉はデカルト(1596〜1650)の著『方法序説』の
   中からです。
     
  ◇この『方法序説』は、デカルトの自叙伝としても読めます。
   そして、多くの人が知る、あまりにも有名な言葉は、
   この著に記されています。

  
    「我思う、ゆえに我あり」

  ◇岩波書店の『方法序説』では、この部分の訳が
 
    「私は考える、それ故に私は有る」

   となっています。 

  ◇「あれ?」と思うのですが、
   実は、私たちがよく知る「我思う、ゆえに我あり」は、
   デカルトと親交のあった神父がラテン語訳したものだそうです。

  ◇このことを知るのに、ずいぶんと時間がかかりましたが、
   何か「小さな確実な前進」を感じました。  

 
※参考文献
『方法序説』(著 デカルト 落合太郎訳 岩波書店)

    


松山 淳 JUN MATSUYAMA松山淳顔写真

世界の企業がリーダー研修で使うMBTI自己分析メソッドを用いて、その人らしいリーダーシップを発揮できるようサポートしている。リーダーシップ研修、個人セッション、講演を行い幅広く活躍中 >>>プロフィール

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