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『リーダーへ贈る108通の手紙』

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【64通目】何かが欠けているから何かに秀でる〜養老猛司の言葉

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『リーダーへ贈る108通の手紙』
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              03.10.15
              64通目
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 リーダー様へ  

  拝啓 雨降って 緑喜ぶ 神無月
 
  如何お過ごしでしょうか?

  昨日、終わりの方で、「記憶力が悪い」ことに何かよい面もあるよう
  だと述べました。
  まずそのことについて触れていきたいと思います。


  「大前  日本には、京セラの稲盛氏のように、記憶力の優れた人は
  創造性に欠けるという極端な意見もあります。(中略)

  ブレークスリー  その説はある意味で当っていると思います。
  創造するためには不要な部分や記憶をどんどん大胆に捨てていかなく
  てはなりません。なんでも覚えてしまうということは、一見、頭が良
  さそうで実は単純な操作、すなわち記憶の入力と出力をしているにす
  ぎないのです。ですから、方程式をまる暗記したり、年代を諳んじる
  ことのできる人は、疑問そのものを抱きませんし、また必要なときに
  はそのままの形で出してくる。だから、答えがすぐ出てしまうので、
  考えるということをしなくなるのです。」

  
  これは、『あなたの右脳が全開する!』(三笠書房)
  (著 トーマス・R・ブレークスリー 訳 大前研一)の中にあった
  対談の一部です。著者と訳者の対談です。
 
  大前研一氏は、訳者の言葉として「私は他人の本を翻訳するなどとい
  う非創造的な仕事など一生するものかと思っていたが」と述べるほど
  この本の素晴らしさを訴えています。

  ちょっとタイトルを見ますと、流行りのノウハウ本のようなので、
  一度買うのをためらっていたのですが、本屋で再度みたときに、大前
  研一氏が翻訳を担当しているのを知り、これは珍しいと思い購入しま
  した。読みますと、どちらかと言えば硬派な学術書のようなものでし
  た。脳科学に関する事例が豊富にのっているものです。アメリカでは
  大ベストセラーになったとあります。

  さて、上記の弁、記憶力の悪さを弁解するには、何ともうってつけな
  のですが、では、わたくしが創造的かと言いますと、それは、それで
  また疑問が残るところです。絵は下手ですし、歌は至って音痴です。
  いわば右脳が担当すると言われている芸術的分野に関しての創造性は
  あまり無いようです。ですが、だからといって、それが創造的では無
  いかというと、それも、またはやとちりの様な気がします。
   ここでの創造的とは「新たな何かを生み出す力」というような事です。

  結論に段々と近づいていきますが、『バカの壁』(新潮社)が大ベス
  トセラーとなった養老猛司氏はその著書の中でこう述べています。

 
  
「何かの能力に秀でている人の場合、別の何かが欠如している、とい
 うことは日常生活でもよく見受けられます。これは脳においても同じようです」

 

  と、バランスの大切さについて言及しています。このことについては
  『ガクモンの壁』(日本経済新聞社)という本の中でもほぼ同様のこ
  とを言っています。この本は、『ニュートン』という科学雑誌に連載
  された、科学者との対談をまとめたものです。

  京都大学助教授、比較行動学が専門の正高信男氏との対談の中に、そ
  れがあります。この対談は1997年の12月号に掲載されたもので
  す。現在もまたその事について触れるということは、養老氏が、その
  事をある程度意識していると考えられます。養老氏は言わずとしれた
  解剖学、科学哲学の権威です。

  この養老氏の言葉から、人間ものその能力においてバランスを取って
  いるのだと、考えられます。

  記憶力が悪ければ、創造性を発揮する。
  記憶力が良ければ、創造性を発揮できない。

  という単純なことではなく、人間には、やはり長所もあれば、短所も
  ある。それは様々なレベルで入り交じり、一つの“人らしさ”を形成
  している。そんな風に思うのです。まさにバランスの結果です。

  職場においては、部下の長所を発見し、そこを伸ばすということが言
  われます。減点主義を止め、加点主義へとよく言われますが、実際に
  は、人間の姿というのは、もっと複雑で、なかなか見え難いことの方
  が多いような気がします。

  どこが良い、あそこが悪い、という白か黒か的な発想が、最終的には、
  出てくるのでしょうが、その前提として、一人の人間をその全体にお
  いて一度認める。そんな考え方があると、ないとでは、何か部下との
  接し方に差がでてくるのではないでしょうか?

  「その全体において認める」というのは随分と抽象的な言い方ですの
  で、つまり、長所、短所あるのが人間。最終的には、会社という環境
  の中で、組織の判断基準にのっとりその人を判断していくわけですが、
  人間性そのものを否定するようなことが無いよう御願いしたいという
  ことです。仕事というものでその人の全人格をはかることはできない
  という前提に立つということです。

  転職して突然、その輝きを増す人がいます。
  優秀な人間はどこにいっても優秀。というのが原則的に言われますが、
  ある会社では駄目人間だった方が、別の組織にいったら突然大活躍、
  そんなことがわるわけです。

  そんな「人間性を認める」という考え方に立った時、それは、必ず部
  下に伝わるのではないでしょうか?
  成果主義を導入していれば、差をつけていかなくてはいけない事もあ
  る中で、「公平さ」をどこかに求めていくのか?
  それは、制度にはない、人間としての接し方にこそあるのではないでしょうか?

  そんな前提をリーダーがもった時、それは、言葉ではなかなか表現し
  がたい、雰囲気というもので必ずあらわれてくるものだと思います。

  上に立った人間如何で、その部の、課の雰囲気が、がらりと変わってしまう。
   良い場合もありますし、悪い場合もあります。
  わたくしはサラリーマン歴は、たかだが約9年でしたが、その中でも
  そういった事を随分と見てきました。

  それは、人間が、どれだけ人間に影響を及ぼすのかということを証明
  しています。

  そして、それは、良い方向に人が人を導けるのだということも、また
  明らかにしているわけです。

 
  
  「身になると云う事は忘れないと云う事ではなくて、覚えた事を忘れ
  る、その忘れた後に、身になる、身についたと云う大切なものが残る。
  忘れた後から学問の本筋は始まるのではないかと自分は思う」

 「知らないと云う事と、忘れたと云う事とは大変な違いなのであって
  知らないと云う事はお話にならない。しかし忘れたという云う事はど
   うかすると覚えているよりも、もう一段上の境地に到達したものと云
  われるものであって、(中略)その忘れたあとに何が残っているかと
  云う事は、言葉を以て簡単に説明できないけれども、何も知らないと云う事ではない。(後略)」

            (『百鬼園先生言行禄』福武文庫 内田百間)
  
  ※内田百間の「間」の字は、門構えの中が「日」でなく「月」です。
   文字をコンピューターで表記できないので「間」を代用しています。

    
  これは、朝日新聞の『素粒子』というコーナーを約8年間担当した
  轡田(くつわだ)隆史氏が書いた『「考える力」をつける本3』にの
  っていたものです。
  氏は、この本の中で自身の記憶力の悪さを嘆いているのですが、本を
  読む限りとても、そんな風には思えません。

  この言葉は、その「記憶力のなさ」を気にすることはないんだという
  ことで引用されたものです。
  轡田氏をもって内田氏は大作家と形容される人です。

  御自身のこともあるでしょうし、また、部下に対してもあるかと思い
  ます「もの覚えの悪さ」。

  しかし、内田氏のように、その中にも何かプラスの要素を発見してい
  く貪欲さのようなものを忘れてはならないのかもしれません。

  それは、人間というものを信じる深い、深い信念から湧き出るものだ
  と思います。わたくしは、生涯通しても、とても大作家のような境地
  に達することはできないかもしれませんが、そこを「目指すんだ」
  という姿勢だけは忘れずにいたいと思います。

  リーダーである“あなた様”であれば、日々、少なからずの人間と接
  し、果たして「没個性化」などいう事が本当にあるのだろうかと思う
  ほど、人の多様さの中で、良い成果を上げねばと、時に苦悩すること
  があるやと思います。
 
  その時には、何かこの大作家の言葉が勇気づけてくれるような気がします。
  繰り返しになりますが、人間長所もあって、短所もある。
  それは、一人の人間として実はバランスが取れているということ。
  そして、短所に“とらわれ”ない。
  短所の中にも長所を見い出す貪欲さ。
  

  そんな考え方は、必ずや職場の人間関係に潤いを与えるものだと思います。
  その事を社内に、部に、課に、浸透させることができるのは
  なんといってもリーダーならではです。

  どうぞ懸命なる心を忘れず、良い成果に結びつく様がんばって下さい。

  「きっと道は開ける!」
  
  そう信じております。
 
  朝晩冷えることもありますので、くれぐれも風邪など召されません様
  おからだ御自愛下さい。
 
  
  本日は、これにて失礼します。

                               敬具

   平成十五年十月十四日

                           松山 淳より

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 ◆自問◆

 1)私は、短所に“とらわれ”てないだろうか?

 2)私は、部下の短所に“とらわれ”てないだろうか?

 3)私は、社内評論家になってしまってないだろうか?

※今すぐ、目をとじて30秒だけ考えて下さい。今すぐ!席をたたないで!
 答えは、でなくていいのです。それについて、考えるだけでいいんです。
 目を開けたら、一番下までスクロールして、その言葉を読んで下さい!

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 ◆102℃ WORD◆

「来年の今頃何をしてますか?」

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 ◆追伸◆
 
   繰り返しになりますが、昨日の表記ミス申し訳ありませんでした。
   記憶力の悪さだけでなく、おっちょこちょいな、わたくしの短所が
   出てしまいました。
   少し秋雨に打たれたようが良いようです・・・・・
    
             
   〜最後まで読んで下さいまして、本当にありがとうございます〜

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 ですので、どんどん使って下さい!みんなで明るくがんばりましょう!

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【ことば】「記憶の無い人は物事を新鮮にながめられる」
                         
(『あなたの右脳が全開する!』より トーマス・R・ブレークスリー) 
        
      
「物は考えよう」とはよく言ったものだと思える言葉です。
 どうぞ“あなた様”の良い面に着目し
 今日も一日ぜひともがんばって下さい!!!

 


松山 淳 JUN MATSUYAMA松山淳顔写真

世界の企業がリーダー研修で使うMBTI自己分析メソッドを用いて、その人らしいリーダーシップを発揮できるようサポートしている。リーダーシップ研修、個人セッション、講演を行い幅広く活躍中 >>>プロフィール

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