トリックスター・リーダーシップとは?

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 「トリックスター」とは、神話学や深層心理学の分野で考察が深められてきたキャラクターである。

 文化人類学者ポール・ランディによって究明され、深層心理学者ユングの「元型」論にも組み込まれている。

 「トリックスター」は、「愚か者」「道化」などと訳される。

 あまり良いイメージはない。

 行動はトリッキーで、失敗をしでかし、神に逆らうこともある。日本では「スサノオ」、北欧神話では「ロキ」、ギリシア神話は「ヘルメス」が有名だ。

 トリックスターは「愚か者」と嘲笑される存在でありながら、時に、英雄的偉業を成し遂げる。このことは、あまり知られていない。

 スサノオは、高天原で乱暴狼藉を働く。天照大神が「天の岩屋」に隠れてしまい世界は闇となる。スサノオは高天原を追放される。しかし、地に降りたスサノオは、ヤマタノオロチを退治し英雄的存在となるのである。

 トリックスターは、「狡猾」「粗暴」「悪知恵」などの特性を備え、決して道徳的に褒められる存在ではない。一方で、「愚かさ」ゆえに境界を越えて幅広く行動するという特性をもち「善」をなすこともある。

 よって、物語のキーになるキャラクターとして、新たな局面を切り拓き、物語を前へ前へと前進させる力をもつのである。

 

 この「境界を越える」という行動は、リーダーに求められる資質であり、リーダーシップと親和性が高い。

 筆者は、世に名の知れた優れたリーダーの共通の資質を帰納法的に導き出す試みはしない。

 名もなきリーダーたちと個別に会い、リーダーシップを獲得していく過程において、どのような特徴があるかを考えてきた。

 ご相談にのってきたリーダーたちは、リーダーシップが開発されていくプロセスにおいて、「境界を越える」行動をとり、行動範囲が拡大していくことを知った。

 例えば、自部署の利害にこだわっていたリーダーが、境界を越えて他部署の都合を考量しながら行動していくようになると、経営者意識が身につき、「部分最適」ではなく「全体最適」を図るようになり、ワンランク上のリーダーとなる。

 家と会社の往復ばかりであった几帳面過ぎるライフスタイルを思い切って改め、会社が終わった後に、他業界の人と交流するようした。すると、自社の人からは聞けない「人生をよりよく生きる知恵」を授かり、生き方に余裕が生まれ、職場にてリーダーとしての評価が高まっていった。

 この意識と行動のより良い変容は、他人からバカと言われようと平気でいらるような、自分を「愚か者」と笑い飛ばせるような、一種の「開き直り」によってなされることがある。

 その愚かさを力に転換する心性が「トリックスター性」と重なる。

 「仕事で失敗しようが、会社でどう評価されようが、死ぬわけじゃないし!」

 人生の根底に、そんな「開き直り」がある人は強い。

 拙著『バカと笑われるリーダーが最後に勝つ』(SB新書)では、リーダーシップを発揮する際にみられるトリックスター性に焦点をあてた。

 「闘う人を笑うより、闘って笑われるリーダーでいたい」。 


(著者:松山 淳)

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