リーダーシップとマネジメンの違いとは?

What is the Difference Between Management and Leadership?
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 "管理はやめよう"

管理されたい人などいない。人は、率いてほしいのだ。
世界的マネジャーなど、聞いたことがない。
世界的リーダー、ならある。教育のリーダー。政治のリーダー。
宗教のリーダー。ボーイスカウトのリーダー。地域社会のリーダー。
労働者のリーダー。企業のリーダー。
彼らは、率いる。管理するのではない。
勝つのはムチではなく、常にニンジンだ。
馬に聞いてみるといい。
馬を連れて水辺まで行くことはできるが、馬にむりやり水を飲ませることはできない。
誰かを管理したいなら、自分を管理することだ。
それがうまくできたら、もう人を管理したいなどと思うことはないだろう。
そして、率いることを始めるだろう。

    出典:『本物のリーダーとは何か』(ウォレン・ベニス 海と月社)

 "Let's Get Rid of Management"

"People don't want to be managed.They want to be Led. Whoever heard of a world manager? World Leader, yes. Educational Leader. Political Leader. Religious Leader. Scout Leader. Community Leader. Labor Leader. Business Leader. They Lead. They don't manage. The carrot always wins over the stick. Ask your horse. You can Lead your horse to water, but you can't manage him to drink. If you want to manage somebody, manage yourself. Do that well and you'll be ready to stop managing. And start Leading..."

(Printed by United Technologies Corporation in the Wall Street Journal)

 

 このメッセージは、ウォール・ストリート・ジャナールに掲載された「ユナイテッドテクノロジーズ社」のものです。

 「リード」と「マネジメント」の違いをわかりやすく伝えています。また、人の上に立つ人間としては、「マネジャーであるより、リーダーになることが、よりよい」のだと読み取れます。

 経営学者の中には、「リーダー」と「マネジャー」、または「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いについて言及している人がいます。

 組織で働く「上司」は、日頃、リーダーシップとマネジメントを組み合わせながら仕事をしています。ふたつの違いを意識することは少ないでしょう。

 では、あえてふたつを分けて考えることに、メリットはあるのでしょうか?

 もしあるとすれば、そのメリットとは、ふたつの違いを理解することを通して、リーダーとしての指針を明確にして、自らの行動変容を促進させることです。

 ここでは、「ユナイテッドテクノロジーズ社」のメッセージにあるように、「リーダーになる理想」を前提にしています。

 では、「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いについて3つの観点から述べていきます。


 まず、リーダーシップとマネジメントの違いを理解していく上で、キーワードを整理しました。

  ⅰ)影響力の源泉  ⅱ)行動の視点  ⅱ)使命

 以上3つのカテゴリーを設けて、説明してきます。

 

 リーダーシップとは「人が人に与える影響力」です。リーダーがフォロワーに影響を与え、目標達成に向けて行動を促していきます。

 この時、フォロワーの側からみると影響を受けて「動かされた要因」が存在しています。「あのリーダーの言うことを聞かないと異動させられる」といった恐れが要因のケースもあれば、「あのリーダーという人間を信じていますので」と、リーダーの人間性が要因になっている場合もあります。

  前者は、リーダーのもつ人事権にコントロールされています。後者は、リーダーの人間性を信頼してフォロワーが動いています。人が動かされる、つまり、「影響力の源泉」に違いが見れます。この違いに学者たちは注目しふたつを分けて考えました。

・リーダーシップは、リーダーの人間性によって人を動かすこと
・マネジメントは、地位による権限や組織の規則によって人を動かすこと

 「ユナイテッドテクノロジーズ社」のメッセージに「勝つのはムチではなく」とありました。もし、「今度失敗したら、異動を覚悟しろ」という権限による威圧、つまりムチをふるうことで人を動かそうとしていたら、それはリーダーシップではないのです。

 権限というムチを振るうことなく、日頃から、フォロワーとの信頼関係の構築に努め、「君ならきっと成功するよ」というリーダーの人間性がにじむポジティブなメッセージによって、フォロワーが自ら動くのであれは、それこそがリーダーシップだというわけです。


 リーダーはビジョンを描くのが役割のひとつです。5年後、10年後にメンバーとともにどうなっていたいのか?。会社はどんな発展を遂げているのか?。理想の未来を思い描き、それを言語化してフォロワーたちに伝え続けます。リーダーは、未来に目を向けて行動していきます。

 一方で、未来ではなく、「今」すべき仕事もリーダーにはあります。事業計画にある目標数値を横目で見ながら、目の前で発生する課題に取り組み、目標達成に向けて進捗を管理していきます。取引先との価格交渉のために出張したり、失敗で気落ちしている部下に声をかけたります。こうした「今」に目を向けて行動していくのがマネジメントです。

・リーダーシップは、未来(ビジョン)に目を向けて、行動していくこと
・マネジメントは、今(プラン)に目を向けて、職場を管理していくこと。

 

 100 年、200 年と続く老舗は、本業を貫きながらも、節目ごとに、本業の存続を根底から見直すような変革を行い事業を継続させてきています。

 旧くなった工場や店舗を閉鎖し、社運をかけて莫大な資金を投下し、新たに工場や店舗を建設することがあります。変革にあっては、スクラップ&ビルドが使命であり、現状を壊すことで新たな力を組織に生み出します。壊し屋の役割を自覚し、「創造的破壊」を意識的に執り行っていくのがリーダーシップです。

 しかし、「変革疲れ」という言葉がある通り、危機感の醸成は大事であるものの、毎日が非常時では、人は精神的に疲労し組織も疲弊してしまいます。ぬるま湯体質になることではなく、社員が安心して働ける秩序ある職場であることも大事です。

 壊すことではなく、秩序を回復し、安定をもたらすこと。そして、「秩序を維持」していくことがリーダーの使命であり、これをマネジメントと考えるわけです。

・リーダーシップは、節目ごとでの「創造的破壊」を使命とする。
・マネジメントは、今ある秩序の維持を使命とする。
 
 

 冒頭のユナイテッドテクノロジーズ社のメッセージでは、マネジメントを「管理」として、否定的なとらえ方をしていました。ただ、実際にリーダーが職場で行動をしている時には、地位による影響力が無いように心がけていても、フォロワー(部下)の側から見れば、役員、部長、課長という役職を完全に無視することはできません。

 視点を今に向けて、問題が起きないように、職場の秩序を維持することは、上司にとって、重要な仕事です。

 よって、マネジメントよりもリーダーシップが優れているとか劣っているとか、双方の優劣を争うことは不毛です。

 置かれた状況を分析して、「今の自分はリーダーシップとマネジメントのどちらに軸足を置くべきか?」と自己分析をしながら行動指針を考え出す時、上司の役割として双方が一緒くたになって混乱するよりも、ふたつをあえて切り分けて考えることで、その指針がより明確になっていくことでしょう。その結果として、行動変容が起きやすくなります。

 組織が停滞していると思えば、未来を視野に据えた変革(リーダーシップ)が求められます。職場で小さな問題が頻発しているのであれば、その問題を今すぐに解決して秩序を回復・維持できるようにマネジメント(管理)していくが大切です。

 リーダーシップとマネジメントを両輪として、今と未来を両目で見つめながらリーダーは、行動していくのです。

(著者:松山 淳)

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