トランジション・モデルとは?

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 組織内においてリーダーになることは、人生における大きな「転機」(トランジション)です。

 例えば、担当者レベルだった人が、抜擢され管理職になった時、それまでとは違ったマインドセット(思考様式)が求められます。

 課長という役職の辞令を受け、自分の名刺に課長と記載されたからといって真の意味で「課長」になったわけではありません。

 新任管理職研修が受けたり、先輩課長から教わったり、何らかの形で管理職の心得を学ぶことになります。その心得を職場にて実践していくことによって、自他ともに認める「課長」になっていきます。

 「俺もやっと課長らしくなってきたかな!」とひとり呟いたり、「○○課長も最近やっと課長としての風格が出てきましたね」と周囲から評価されることがあります。

 これは担当者レベルから管理職へと移行していく心理的プロセスを経て、ひとつの到達点へと達した証であり、過去の自分と決別する「心の作業」が無事に完了したことを意味します。

 課長として新たなステージが、真の意味で「始まり」を迎えたわけです。

 

 臨床心理学者でもあり、組織コンサルタントであるウィリアム・ブリッジズ(William Bridges)は、「トランジション」(転機・移行)という概念に着目した研究者であり、「トランジション」をコンセプトにした著作を残しています。

 ブリッジズは、トランジションには3つのステージがあると提唱しました。

トランジション・モデルの図 

 例えば、管理職になることは、平社員である自分が「終わる」ことです。何かが終わる時には、怒りや悲しみや後悔など「負の感情」が生まれます。この「負の感情」は、時として「中立圏」にて増幅し、人を苦しめることがあります。

 課長の辞令を受けとり、課長として初出社しても、課長になりきれていない状態は、中立圏です。「役職なんかいらない」「昇進しなければ、こんな・・・」と、現在の自分を否定し、過去の自分に執着することもあります。

 こうした感情の葛藤が中立圏で起き、それをくぐり抜けていくことで「始まり」のステージを迎えるのです。

 ですので、中立圏において、過去の自分に精神的な意味での「死」を与える心理的作業が求められます。

 その作業は、新任管理者研修などを通して意識的に行われることもあれば、ふらりとひとり旅をしてみたり、学生時代の仲間と飲みにいってみたり、亡くなった両親の墓参りをしたり、恩師に手紙を書いてみたりと、非日常的な行動をとることで無意識になされることもあります。『トランジション』本の画像 

 中立圏を抜け出すために、何らかの非日常的な行動をとることは、文化人類学的にいえば「通過儀礼」であり、意識的・無意識的に「儀式」を執り行うことで、私たちは中立圏を自分らしく抜け出していきます。

 過去の自分を「終える」ことで、新たなステージは、真の意味で始まるのです。
 ブリッジズは、著『トランジション』でこう書いています。

 「人は跳び上がる前に、かがまねばならないのだ。このような旅はまた、たった一人で行くしかない。他人に優しくする習慣や、自分を優しい人間だと思うことは、敗北につながる。この時期は、これまでと同じように他人の世話を焼くよりも、自分が今していることと、その意味に神経を集中すべきなのである。神の命令に従うなら、行くべきところをめざして進むのだ。小さくなった服を脱ぎ捨てて、われわれは新しい人生を見いだすためにトランジション・プロセスを歩み続けなければならなないのである」

 リーダーになることは、ある意味、生涯の課題ともいえます。

 人生の様々なステージで発生する「転機」(トランジション)のポイントで、「終わり」→「中立圏」→「始まり」というパターンを繰り返しながら、私たちはリーダーとして成長し、その時、求められる技量を獲得しリーダーシップを強化していきます。

 何かが始まる時には、それまであった自分を「終える」ことが大切です。

(著者:松山 淳)

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