大島優子から学ぶリーダーシップ論

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 『バカと笑われるリーダーが最後に勝つ トリックスター・リーダーシップ』(SB新書)の執筆にあたり、「高橋みなみのリーダーシップ」に着目し、AKB48のドキュメンタリー映画(『DOCUMENTARY of AKB48』〈東宝〉3部作)を観賞しました。

 その時、前田敦子と大島優子というAKB48における2大エースが性格的に対照的であり、その行動特性も異なることも印象に残りました。前田敦子は性格的に内向型であり、大島優子は外向型です。

 AKB映画表紙画像大島優子の外向型を象徴する2つのシーンが、映画ではみられました。

 2011年に開催された第3回AKB48総選挙の時です。大島優子は、前田敦子に1位の座を奪われ、2位に後退します。総選挙が終わり舞台裏に移動すると、大島は悲しみがあふれ感情のコントロールを失い、篠田麻里子に抱かれて泣き出してしまいます。

 悲しみか悔しさか、アイドルを忘れひとりの人間に戻り、からだ震わせひたすら嗚咽する姿は、彼女がメディアで見せるポジティブなイメージとは全く違うものでした。

 この時の心境を「誰とも口をききたくなかった」と彼女はドキュメンタリー映画で吐露しています。
 ところが、大島優子は涙を流し終えた後、多くの人間がひしめく中をかきわけて、前田敦子のもとに自ら歩み寄り、賛辞の言葉を投げかけるのです。

  2012年3月に開催された埼玉アリーナでのコンサートでもそうでした。この時、前田敦子がAKB48からの卒業を発表します。大島は余りの驚きにステージ上で表情を失います。映画での篠田麻里子の発言によると、前田の卒業を1期生は全員知っていたようですが、それ以外は知らなかったそうです。

 大島優子は2期生です。前田敦子、高橋みなみ、板野友美、篠田麻里子などが一期生です。映画を注意深く観賞すると、期が異なるとことで、本人たちにも意識化されていない「見えない壁」があるように感じます。AKB映画表紙画像

 大島優子の夢は「女優」になることです。第1弾のドキュメンタリー映画では「10年後の自分」がテーマになっていました。子役から芸能活動している大島優子は、第1弾の映画の段階から明確に卒業を意識する発言をしています。ですので、AKB48からの卒業は、大島にとって常に近い将来にある得ることであり、前田敦子の卒業発表は、「前田に先を越された」という後塵を浴びた感覚があったのではと考えられます。

 しかし彼女は、舞台裏で前田敦子を追いかけ自分から声をかけて、「すごいね、よく決断したね」と涙ながらに前田と会話を交わすのです。

 自ら関わっていく。

 これは外向型の行動特性として象徴的なものであり、リーダーシップのポイントとなる考え方です。

 リーダーシップは「対人影響力」と端的に表現されることがあります。人に影響を与え、チームをまとめ、成果をあげていくプロセスがリーダーシップです。そう考えると、リーダーシップのスタート地点には「自ら人に関わる」という行動特性が、そこにあるのです。

 

AKB映画表紙画像

 2つのシーンで印象的なのは、大島が自分の劣勢な状況においても、ライバル前田敦子に自ら歩み寄っている高潔さです。総選挙で前田に負けて号泣する彼女の姿は、強烈なまでの「負けず嫌いな性格」を表しています。

 子役から活動する彼女は、自分の仕事に対するプロフェッショナル意識が強く、女優という「夢」に向けて努力を惜しまない優れた人間性をもっています。

 「負けず嫌い」は、時に「嫉妬深さ」となり、その人間性に暗い影を落としますが、彼女は「負けず嫌い」と「高潔さ」がバランスよく同居している人間であり、だからこそ、劣勢にあって前田敦子に自分から声をかけることが可能だったと思われます。

 大島優子の高潔な行動特性は、インテグリティ・リーダーシップともいえるもので、拙著『「機動戦士ガンダム」が教えてくれた新世代リーダーシップ』で、解説した特性と重なります。

 リーダーとして周囲の人間から信頼を得る時、「高潔さ」は鍵になります。

 仕事でトラブルが発生すると、なぜか職場から姿を消すリーダーがいます。その反対に、部下がトラブルに巻き込まれている時に、必ずそばにいて、時には、自分が矢面にたってトラブルを処理しようとするリーダーがいます。これも「関わり行動」のひとつです。

 前者と後者、どちらのリーダーにについてこうと思うかは明白です。よって、日々、「自分の行動は高潔だろうか」と問い内省することが、リーダーシップの力を高めていくのです。

「楽な道と苦しい道が二択あるとしたら、苦しい道を行け 
 茨の道を選ぶんだ」
 
       (大島優子オフィシャルブログ「ゆうらりゆうこ」)

 2013年大晦日の紅白歌合戦でAKB48からの卒業を発表した大島優子は、年が明けて2014年1月4日のブログに、この言葉を記していました。プロデューサー秋元康の言葉だそうです。

 人生の重大な転機(トランジション)で記された言葉は、彼女の本質を表しているといえます。

 

 AKB映画表紙画像AKB48は、東日本大震災の支援活動を長期にわたり継続しています。2011年5月、震災の悲惨さが剥き出しになっている段階で、大島優子も被災地入りし、歌をプレゼントしています。子どもたちの多くが笑顔を見せました。

 2年目のAKB48による支援活動はNHKで映像化されました(『MJ presents AKB48 ドキュメント3.11』(NHK総合)』)。

 小学校の教頭先生が、AKBの歌で喜び踊る子どもたちをみて「ありえないことなんです」といっていました。震災で親を失った子どもたちも笑い飛びはね、普段では見ることのできない笑顔をAKB48の歌が生み出したのです。

 アーティストたちがボランティア活動をする時、必ずある批判は「売名行為」「偽善者」です。しかし、東日本大震災における様々な支援活動によって、AKB48が多くの被災者たちを励ましたことは揺るぎない事実です。
 
 「企業の社会的責任」(CSR:corporate social responsibility)という考え方があります。企業活動は社会と密接に関係しています。社会に対する責任を自覚し、持続的な利益をあげていく責務を問う考え方です。企業があって社会があるのではなく、社会があって企業は存続できるのです。

 東日本大震災におけるアーティストたちの支援活動の実績を考量すると、芸能活動に携わる人間による「アーティストの社会的責任(ACR:Artist social responsibility)」という概念があってもよいと思います。

 ファンを大切にするのは当然のこととして、アーティストが社会に対して「できるコト」は、東日本大震災をきっかけに、単にパフォーマンスを届けるコトではなく、それ以上のコトだとパラダイム・シフトが起きました。

 AKB48の被災地への支援活動は、「ACR」の象徴となるものです。「ACR」を声高に叫べば、批判がつきまとい、それは茨の道となるでしょう。

 あえて艱難辛苦の道に進むことをギリシア神話の逸話にちなんで「ヘラクレスの選択」といいます。リーダーシップを発揮しようとする時、「ヘラクレスの選択」はつきものであり、厳しい現実から逃げない姿勢がリーダーシップを磨きます。
 
 大島優子がブログに記した言葉は、「ヘラクレスの選択」を潔く受けいれていくことを意味し、その「高潔さ」を強みとして人を巻き込みながら、リーダーは道なき道を切り拓いていくのです。

(著者:松山 淳)
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