リーダーの言霊
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HOME > リーダの言霊 > 第1回リーダーの言霊 三鱗印刷(株) 田嶋圭社長(1)
      三鱗印刷株式会社 田嶋圭社長。社員ひとりひとりが「人生の夢」をもてる会社にしたい

 三鱗印刷株式会社ホームページ画像三鱗印刷株式会社の創業は、1933年(昭和8年)。現社長の田嶋圭氏(38)の祖父が創業者である。
 ソニーがまだ「東京通信工業」といった時代に、先代の会長である祖父が友人を介し、創業者の一人である盛田昭夫氏に知遇を得て、ソニーの印刷業務を請け負いながら経営基盤を固めていった。一部上場企業である株式会社ミツウロコの関連会社として、現在も、ソニーならびにソニーグループからの印刷業務を受注の柱として78年の社歴を誇る。
  品質に優れた取引先に与えられる「グリーンパートナー環境認定品質企業」としてソニーに認定され、紙からデジタルへと印刷業界に試練が訪れている今、社員教育に力を注ぎ、10年先にある田嶋社長が描くビジョンにむけて経営をつづけている。



松山 田嶋社長が3代目の社長となります。事業継承においてはいろいろな問題の噴出する会社が多いわけですが、先代からの事業継承はうまくいったのでしょうか?

田嶋 はい。私の父が前社長になるわけですが、父は「好きなことをやって構わない」と私が学生の頃から言っていました。ですので、2代目、3代目の社長が事業継承にあたって苦悩するお話をよく聞きますが、私の場合には、「無理に会社を継がされた」という意識はまったくありません。

 むしろ、自分で経営者になりたいという意識がなんとなく昔からあって、自らこの道を選びましたので順調に事業継承ができたと思っております。

 

松山 大学を卒業されて、すぐ会社を継いだのですか?

田嶋 いえ違います。父からは「違う会社に就職するなり好きにしろ」と言われていました。ですので、自然公園のガイドになるのもいいな(笑)、などとまったく違う道を考えていました。

 ですが、いつかは継ぐことになるのだろうという、それがいつかはわかりませんでしたが、会社を継ぐ意識、といいますか、経営者への漠然とした憧れがあったのです。ですので、就職に関して父に相談しました。
 すると、「お金の流れと営業の本質がわかる業界をみておくのがいいだろう」と言われ、大手の生命保険会社に就職したのです。

 


松山 そうなのですか。大学を卒業されて、生命保険会社に就職されたとのことですが、その頃のことで、何か記憶に残るエピソードはありますか。また、サラリーマンとして働いて、どんなことを学びましたか?

田嶋 保険会社に就職したら、まず研修がありました。とにかく社会人になることが、これほど学生の時と違うのかと、ものすごいショックを受けました。約半年間、ある施設で研修を受けたのですが、教官は軍隊の指揮官みたいで怒鳴りますし、研修というより訓練です。社会人としてのマナーからはじまって、営業マンとして必要なスキルすべてを徹底的に叩き込まれました。研修についていけない同期で辞めたものもいます。

 この研修の一環で、飛び込み営業のプログラムがありました。これがきつかった。お客様に名刺を渡したら目の前で破られたこともありますし、「帰れっ!」といってお茶をかけられたこともあります。それはそうなんです。相手の都合もまったく考えず、アポイントもなく会社の扉をあけて勝手にどんどんフロアに入っていくわけですから、怒られて当たり前です。

 

 そんな中で、「何考てんだばかやろう」と名刺を破られ、それでもめげずに毎日毎日、何社も何社も飛び込みの営業をつづけました。どんなに叱られてもまた同じ人に会いに行かなくてはなりません。その会社の前まで来てドアを開けようと、ドアノブを手にすると、からだ硬直してしまって、どうしてもその扉を押すことができない、そんな精神状態になったこともあります。

 その時、同期に一緒に来てもらい、「すまん、ドアだけ開けてくれ」と、扉を開けてもらったこともあります。扉が開いてしまうと嫌でも相手のお客様と目があってしまいます。そうすると不思議と身体が前へ、と動くのです。

 そうして通ったあるお客様に、「わかった、ここまで俺が怒鳴って、それでも来るのは見上げたものだ。俺に見合った保険のプランはあるのか。プランだけなら見てやる、もってきてみろ」と言ってもらえたのです。

 私は、猛ダッシュで会社に戻り、プランをつくり資料を整理して、2時間後には、またその方のもとを訪れました。そうしたら、その場で、すぐ契約の判子を押してくれたのです。もう、感動でからだが震えました。

 このエピソードは、私にとって、何ものにもかえがたい経験です。正直、当時は、「なんでこんなことやんなくちゃいけないんだ」「辞めてやる」と、思ったことも一度や二度ではありませんでした。

 でも、中小企業の社長というのは、経営者であると同時に、営業マンとしての役割があると思っていますので、サラリーマン新人時代の、この経験があったからこそ、今、自分は経営者としてやっていけているのだと思えます。
 契約をいただくことの難しさ、厳しさ、また契約をいただけた時の喜びというものを、いい意味で学んだ新人時代でした。

 


松山 とても厳しい営業マン時代を乗り越えられてきたのですね。その生命保険会社にはどのくらいお勤めになっていたのですか。

田嶋 約3年です。研修が終わると、私は激戦の渋谷営業所に配属されました。この時、営業所長が体調を崩してしまい、営業所を統括する支部長から「お前がやれ」と言われ、入社1年目で、実質的な営業所のリーダーになってしまったのです。

 それから50人の、年上の生保レディたちをマネジメントする立場となりました。これがまた想像を絶する大変なものでした。かわいがってくれる人もいましたが、文句ばかり言う人もいますし、お色気(笑)を使ってくる女性もいて、人を動かすことの難しさをとことん味わいました。

 この経験で、みんなの想い、そのベクトルをあわせていくことの大切さを学びました。自分をさらけだし、飲みにいったり、本音で話しをしたりしながら、だんだんと年上の女性たちに田嶋という人間を信頼してもらえるようになり、自分を飾らずオープンにすることが、人間関係をつくっていくうえで、また人から「信頼」されようとする時に、とても大事なのだと学びました。

 人の心を動かすのは、偉そうなことを言うことや、もっともらしい振る舞いをすることではなく、まっすぐな情熱だ、とわかったのです。
 このことは、リーダーとして人の上にたち、日々、マネジメントに苦闘した経験があったからこそ学べた、机上の空論ではないとても大きな教訓となりました。 next page



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